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偽造通貨対策研究所は筆跡鑑定、印影鑑定、通貨鑑定、証書鑑定等の文書鑑定の専門企業です。

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印影鑑定IMPRINT DETECTION

印影鑑定

偽造通貨対策研究所の遠藤です。

印影鑑定では、たとえ印顆(ハンコのこと)を盗用され、本人(ハンコの持ち主つまり名義人)が知らない間に契約書に押印され、後日債務の履行を求められるような場合でも、残念ながら契約書自体は真正印影であり、基本的にあるいは形式的に有効となります。一般的な文書鑑定における印影鑑定では「誰が、いつ」押したかについては、鑑定不能にならざるを得ません。

本人が押印した事実(記憶)がなく、それが偽造印影でもない場合では、その殆どは盗用または誤認誘導による真正印影と言えます。したがって、書かれている契約内容も有効です。
しかしながら、それではそこに寝ている悪が有利になり、悪用された被害者は不利になるばかりです。

弊所ではこのような事案の問題解決のため、真正印影であってもこれを無効とする印影鑑定を行っています。残念ながらホームページでは詳しい鑑定手法を公開できませんが、このような事案でお困りの方がありましたら、お知らせ下さい。
(2022.8.23追記)。

最近、契約書に押印された印影について鑑定を行うと、微妙に輪郭線や文字画線にずれが見られ、鑑定結果としては相違印影となるケースが増えています。つまり、古印体や篆書体等の印顆を予め同じサイズで2つ造り、例えば金銭消費貸借契約証書等に一方の印顆で押印し、別の印顆で印鑑証明登録をしておいて、印鑑証明書の印影とは相違印影となるように仕組んで、債務否認を正当化しようとする悪意の事例です。

はんこ屋さんにはモラル、あるいは善管注意義務があり、同じサイズ、同じ字面の印顆を造ることはしないと思いますが、そこは悪意の依頼者が受け入れざるを得ない口実を用意しているのでしょう。このように造られた印顆による印影は、残像鑑定や局部接合鑑定等の目視鑑定を実施しても見破ることは難しく、契約書が完成してしまうわけです。

条件がよすぎる契約、相手方に不信感のある契約については、印鑑証明書とその印鑑について、特段の注意が必要です(2021.6.24追記)。

印影鑑定に関するお問い合わせで、よく「印鑑の鑑定をお願いします。」と言われることがあります。文書(紙面)に、印章あるいはハンコ(判子)を押印すると、紙面には印面に着肉した朱肉が移行し、塗抹痕が浸透残留します。その際紙面に形成された画像を印影と呼びます。印影は、当然印章の印面が反転した画像となります。

ところで印鑑は一般的には印鑑登録を行った印鑑すなわち実印のことをさすと思います。それはさておき、柘植の木や象牙で造られた印章は、印顆とも呼ばれますが、押印され紙面に残った画像を印影と呼ぶわけです。ハンコと印鑑、さらに印章または印顆、そして印影。言葉遊びのようで恐縮ですが、文書鑑定の立場から気づいたこととしてお知らせしたいと思います(2020.12.20追記)。

法律事務所や一般企業から、契約書に押印された印影の鑑定を求められるケースがあります。その際、依頼人の多くは対照資料として印鑑証明書を示めされます。公的機関(自治体)に、登録した印鑑の証明書だから、間違い、という考え方です。

しかしながら、これが今問題となっています。

昔(30年程度)の印鑑証明書は、登録実印を市役所(登記自治体)に持参し、所定の用紙に押印して窓口に提出します。係員が予め登録された印影と、所定用紙に押された印影を視認検査し、その上で証明書を発行します。これが直接証明方式の印鑑証明書です。

ところが、最近は、発行の迅速化や簡素化と言った住民サービスのため、「印鑑カード」さえあれば、窓口に行かなくても、また印鑑がなくても、最寄の出張所やコンビニで容易に印鑑証明書が入手できるようになりました。登録された印影画像を電話回線にのせてデータ伝送し、出先の端末で受信したデータは、再現画像として印刷され、間接証明方式による印鑑証明書が発行されます。

実は、データ伝送の際、真円は微妙に楕円形に変化します。これは画像を網目状に細分化し、1行ずつ数珠つなぎにしてデータ伝送し、受信側で再び並び替えて印影画像を再現するためで、送信方向に間延びする特性があります。さらに、出張所の端末やプリンターについて、メーカーや機種が異なると、なおさら誤差が発生します。

この誤差は、一般的には、大いなる問題はありませんが、こと文書鑑定となると、そうはいきません。何せ、印影をA4判(210×297o)サイズ程に拡大し、異同識別を行うため、画線ずれがあると、誤鑑定が発生する可能性があるのです。

印鑑証明書の印影は、絶対に正しいと思う方が多いため、現代の印鑑証明書は、言わば鑑定人泣かせの公式資料と言えるでしょう(2020.11.03追記遠藤智彦)。
【筆跡鑑定の自動化?】
【印顆の部位呼称】
【幾何図法による字面検査】
【幾何図法による字面検査】
【スーパーインポーズ法による重合鑑定】

(以下本文)
印影は、印顆あるいは印章の字面が朱肉を媒介し、紙面に付着し残った画像と言うことができます。契約書や遺言書等重要な書面には実印と印鑑証明書を添付しますが、自らの意思に基づき、遺言書や契約書の内容を認めたことを示す意味があるわけです。

【筆跡鑑定の自動化?】
ところで印影鑑定の前に、言葉の定義を確認したいと思います。一般的に使用されている印鑑、はんこ、印章等の呼称についてです。弊所法文書鑑定室では、印顆、印章、はんこはほぼ同義と解しています。一応本稿では印顆で統一して解説します。もう1つ印鑑がありますが、これについては印鑑登録をした印顆を指すと考えています。いずれにしてもこれらの断裁面に彫られた外輪郭線や文字画線が朱肉を媒体として、そのかたちが紙面上に移行残留した画像が印影ということになります。さらに紙面に印影を施す行為は押印あるいは捺印ということになります。

また外的要因になりますが、朱肉の着肉量や印顆を紙面に押しつける行為である押印あるいは捺印において、力加減、いわゆる押圧状態が人により異なるため、着肉不足や着肉過多が生じ、前者では画線の欠落、後者では画線ずれの現象となって現れます。

ところで、印影鑑定を自動化しようとする技術開発がすすんでいます。開発しているのは、東京都千代田区のウィツェル社で、右の写真は印影画像の採取と、保存印影をタブレットに画像表示した例で、押印時に発生する印影の回転誤差は、AIが自動的に修正します。印影鑑定の現場でどこまでの精度を得ることができるか検証したいと考えています。

実際の印影鑑定では、署名文字画像や機械印刷された罫線等の重合が発生し、必ずしもクリーンな印影画像が採取できるわけではありません。また印肉の着肉過多(過少)、ひとの挙動誤差等も発生します。これらの問題がクリアーされ、実務に使えるようになれば、鑑定書作成において相当な時間短縮が可能になるかと思われます。実用化が期待されます。

印影には、いろいろな意味で価値があり、価値があるからこそ偽造や改ざん等も発生すると思われます。鑑定においては、押印印顆、押印方法あるいは押印者が不明、または判明の場合でもその状態に疑義がある印影を疑問印影あるいは問題印影といいます。

対照印影となる真正印影とは、鑑定印影の本来的真正印影で、印顆と押印者の存在と状態が明らかな印影をいいます。今日、プリンターやスキャナーの技術革新により印影を別の紙面に再現することは容易と言っても過言ではありません。

【印顆の部位呼称】
しかしながら、紙面上の印影が印顆により押印されたものか、プリンターで再現された画像であるか、否かを容易に見破る方法があります。いわゆるマージナルゾーンの検出検査です。これは朱肉による押印印影であれば、朱肉が圧力で押されてはみ出す現象を利用した検査で、はみでた部分を「マージナルゾーン」というのです。

印影は、正当なる印顆の所有者が、自らの意思において物理的に押印行為を行なうことが求められることは言うまでもありません。しかしながら、印影鑑定では第三者が不法に印顆を横領し、これを用い押印した場合について、あくまで正しい印影となります。押印者が誰であるのか、いつ押印したかの鑑定はできません。

このような場合では、真正印影と判断せざるを得ないため、物性鑑定による問題解決は難しく、印影鑑定についてはこの点に注意が必要であることを先ずは申し上げたいと思います。

印影画像は検査資料、すなわち鑑定資料及び対照資料にある印影画像を高精細顕微鏡カメラで撮影します。印影画像の撮影には、1240万画素の高解像度CMOSセンサー(撮像素子)内蔵カメラと焦点距離60mmのマイクロ(無収差接写)レンズを用い、ライトスタンド下を用いて検体に垂直かつ正対し、鑑定印影と対照印影を同じ条件で撮影します。

幾何図法による字面検査

検査内容としては鑑定印影の印影個性について解析します。幾何図法、局部接合法、重合鑑定(スーパーインポーズ)を主たる検査手法とし、解析を行っています。

右記の螺旋模様画像は、弊所法文書鑑定室で使用している幾何図法検査用のテンプレート画像です。真正印影と疑問印影画像に、上位のレイヤーとして幾何図を重ね置き、外輪郭線と字面の配置、文字画線をずれを確認します。

一般的には4〜5oの方眼紙テンプレートが用いられていると思いますが、弊所法文書鑑定室では、2o間隔に同心円を配置し、丸印影の検査に用います。

幾何図法検査のメリットは、印影の変形や全体の歪みが、どの箇所において際立っているか、顕著であるかが判明しやすい点にあると思います。

幾何図法検査は、いわば次の局部接合法やスーパーインポーズ検査の疑わしい部分を眼付けする意味合いを持ちます。印影鑑定のメインイベントは何といってもスーパーインポーズ検査です。

印影を偽造あるいは再現する方法は、紙面上の画像をカメラやスキャナーで読み取って画像を再現するか、あるいは印顆を偽造して作成し、その偽造印顆で押印するかの2つの方法が考えられます。

一般常識でもわかるとおり、紙面上の印影から印顆を作成することは極めて難しい作業といえるでしょう。私遠藤の経験からも、過去に偽造印顆によって印影を再現した事案は1回だけです。

いわゆるハンコ屋さんも、「紛失したので、同じ印顆を作って欲しい・・・。」のような依頼には、断るかあるいは、わざと微妙に異なる印顆を作るといいます。

最近は、ペーパーレスの時代に突入したと言われています。会社内における様々な帳票は、全てデジタル化される可能性が高く、企業内でいちばん多く用いられる会議の資料や決裁稟議書はいち早くデジタル化され、ペーパーレスがすすんでいます。

 いずれ、デジタル偽造が始まるかも知れませんが、この辺については、改めて言及したいと思います。


局部接合法による断面検査

幾何図法検査を実施しても、なお疑義が払拭されない疑問印影については、次の検査工程として、局部接合法による断面検査にすすむことになります。この検査は鑑定印影と対照印影について、上下あるいは左右を2つに割りそれぞれの断面を、フォトレタッチソフトを駆使し、いわば、バーチャルに断面突合する検査です。
印影画像を縦/横/右斜/左斜切断し、鑑定印影と対照印影の断面を突合することで外輪郭線及び文字画線のずれを観測する検査です。

印影画像における歪みは、例えてていえば、支点・力点・作用点が存在すると考えています。円形印影を上から押すと、その圧力は下側で受け止めるため、歪みはモーメントとして作用し、左右方向に楕円化して広がり、特に外輪郭線に際立ったずれが生じます。

局部接合法による検査は、鑑定印影と対照印影の画線ずれが、51%以上であるのか、否かをチェックしています。つまりセンターがずれているか、否かが重要なポイントになるわけです。基本的に、印影は人が手に持った印顆に朱肉を付着させ、その印顆を紙面に押しつけることで朱肉が紙面に移行し、印影画像を形成します。挙動誤差といいます。

人が、手によって行う動作行為であるため、この挙動誤差は、基本的に発生します。例えば紙面に対し、印顆を垂直の状態に押しているか、字面が紙面に接触する際に、横ずれが発生しないか、着肉量が字面全体にまんべんなく付着せず、濃い部分と薄い部分が発生していないか、あるいは、下敷きに印影に影響を与えそうな凹凸はないか等、様々な要因が印影鑑定において確認すべき消化項目になります。いずれにしても画線の位置ずれがセンター位置まで及んでいるか否かが重要なチェックポイントになります。

スーパーインポーズ法による重合鑑定

印影鑑定における最もポピュラーで、確実な鑑定手法は、何といっても、スーパーインポーズ重合鑑定といえるでしょう。その作業手順からスーパーインポーズ法は「ネガポジ鑑定」という言い方も見受けられます。

弊所法文書鑑定室では、通例鑑定印影をポジ、対照印影をネガ化しスーパーインポーズを行っています。理論としては、鑑定印影が真正印影であれば、対照印影とのスーパーインポーズで、全てがグレー化し、画像が消える現象が発生するわけです。

しかしながら、実務においては紙面には汚れや機械印刷された文字や線も撮りこまれるため、いわば様々なノイズが発生し、理論どおりに打ち消し合って画像が消える現象は見受けられません。そのため、意図的にノイズを削除する鑑定人も見受けられます。

証拠を毀損する可能性もあることから、弊所法文書鑑定室では、あくまで資料のあるがままの状態で撮りこんでいます。作業手順としては、鑑定印影対照印影とも、フォトレタッチソフトでモノクロ画像に編集します。その後ポジとネガをレイヤー処理し、重合成します。




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担当者 伊藤

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